FISHES

[ 市場で扱う魚 ]

サンマ

秋が旬
秋刀魚 Pacific saury トウゴロウイワシ(ダツ)目サンマ科

目利き

目が澄んで輝き、体に青紫の光のあるもの、腹がしっかりしており、
身の反り返ったものを、腹切れや皮むけの見られるものは鮮度が低下しているもの。



くちばしの先が黄色いものほど脂がのっています。


名前の由来

むかしむかし、ご飯のおかずを”ナ”といった。
しかし野菜も魚も同じ”ナ”だから不便である。
魚のおかずは、”真ナ”(まな)と呼ぶことにした。
秋に大根おろしと一緒に膳にのぼる飛びきりうまい魚は、細長かったので「狭真魚」(さまな)と呼ばれた。

サマナがなまってサンマになったようです。


特徴

“サンマには、胃と幽門垂がない。
そのため餌は、動物性プランクトン。
サンマの適正水温は、表面水温が15~18℃とされこの水温帯を追って日本南北を回遊するものと考えられている。

が年間を通じての漁獲水温は、10~23℃と幅広い。
日本近海での産卵は9月末に始まり、四国および九州の沿岸では、1月4月。
寿命は、基本的に1年で成長の早い魚だと予想されている。”


効能

旬のサンマは、脂肪が最高にのって「按摩泣かせ」と呼ばれるほどです。
(サンマを食べると夏バテも解消し按摩にかからなくても済むの意。)
サンマは、生活習慣病を予防するEPA・DHAの宝庫です。

ビタミンAに至っては、牛肉のロースと比べるとビタミンAが12倍にもなります。
またサンマの血合いには、ビタミンB12が多量に含まれており貧血に良く効くといわれ、他の魚の3倍以上もあります。


日本で初めて熊野灘で八手網によるサンマ料が始まったのは、
延宝年間(167381)の頃で、紀州から房州へと漁場が広がっていきました。
房州の漁法は、古くは巻網だが、明治中期には、刺網漁に代わっていきました。
近年になって「棒受網漁(ぼううけあみりょう)」が発達すると漁獲量は飛躍的に増大しました。

棒受網漁は、集魚灯で一度サンマを寄せ集め、一度集魚灯を消し、
船の反対側にもう一度集魚灯をつけそこへ網を待ち構えて、
サンマを一網打尽にすると言う漁法です。

素人が考えると、集魚灯でサンマを寄せ集めた際に網を張っておけばよいと思いますが、それではサンマは寄ってこないそうです。


逸話

1.落語に「目黒のサンマ」というのがあるが、ご存知でしょうか。
目黒で焼きたてのサンマを食べそのあまりのおいしさに感激した殿様が、
城に帰ってサンマを食べました。
しかし食膳に出されたサンマは、目黒で食べたサンマの味とは比べ物にならないぐらいおいしくなく、がっかりした殿様が、「サンマは目黒にかぎる。」
といったことからだそうです。
殿様といえばおいしいものばかり食べているように思えるが、
城中の食事は、毒味やらなんやらで調理してから時間が経っているので焼きたてが最もおいしいサンマのような魚では味が落ちるわけです。

つまり「目黒のサンマ」は貧しいけれど、殿様が大感激するほどの魚を自由に食べていたという
庶民の優越感をくすぐる話であったようです。

2.「秋刀魚騒がせで豆腐屋上がったり」ということわざがある。

どういう意味かと言うとサンマの大漁は魚河岸(魚市場の事)を戦争のような忙しさにする。

それに引き換え豆腐屋は安いサンマに客を食われて商売にならないという意味です。

今では、サンマが大漁に獲れ安くなりすぎて”売上が伸びず”といったところでしょうか。

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